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願い [洋子さんへ]

はるか昔、1年に1回洋子さんと国内旅行をしたことがあります。そのうちの1回は長野の温泉で、川にかかる橋に屋根があってその冬の景色が素敵だとのことで1泊で行きました。3月でしたので、もう雪はないけれど、山の木々が新芽をたたえているせいか山全体がピンク色にうっすらと染まっていて美しかったのを覚えています。

川辺にある共同温泉の前に、祈りの言葉を書いた木札がいっぱいかかっていました。その中に「助けて下さい。私の大切な人が病気です」と書かれた真新しい祈りの木札があって、洋子さんと私はしばしその前に佇みました。ふたりとも「恋人への思い」だと思っていましました。 

それから何ヶ月かたって、洋子さんに会った時、「あの木札の人の大切な人って友達だとおもう」と彼女がいったの。そう、私もそうおもった。
この一連の記憶はなぜか強烈で忘れることがなかったわ。あの木札に祈りを書いた人と相手の方はどうしたのか、どうか病気が癒されているようにと、おもったものです。

なんとそれから十数年後洋子さんと私の上に全く同じ事がおきました。私は「神様お願いです。私の大切な人が病気です。助けてください」と何度も何度も祈りました。そのたびに洋子さんと見たあの新しい木札を思い出していました。祈りは虚しく洋子さん8月14日天国に旅立ちました。そしてそれからもう6年が過ぎました。私の定期券入れには洋子さんのお見舞いに通うための定期券が今も収められています。たった5回しか使わなかった定期券が。

七夕で短冊に願いを書きます。でも、私には個人的にはなんの願いもありません。 「みんなが幸せでありますように」とででも書きましょうか。


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